戦国鍋からなんとなく歴史を学ぶ

戦国鍋からなんとなく歴史を学ぶ

なんとなく歴史を学びたい。

Endless錦/ 幕×JAPAN

Endless錦/ 幕×JAPAN

作詞:安部裕之 作曲:奥村愛子 

 ※第6話から曲がロングバージョンになり、タイトルが「錦」から「Endless錦」に。ユニット名の読みは「ばくえっくす」ではなく「ばくばつ」

元ネタ

史実:幕末の志士たち(薩長同盟など)
ユニット:X JAPAN 曲は紅(タイトルはENDLESS RAINも意識か) 

 

メンバー


※TOSHIとTAKAはサツマ・ハン・シエル、KOGOROとSUGIはサイコ・ル・チョーシューというバンドで活動していたが、RYOMAの引き合わせで 幕×JAPANを組むことになったとトークで明かされています。

 

歌詞

薩摩は公武合体 幕政改革
長州は攘夷 攘夷
攘夷 to the world
引き裂かれるheart 交わらないfate
あの日が来るまでは...

幕末に強大な勢力を持っていた薩摩と長州のお話。
幕末の薩摩藩は皇女和宮と14代将軍徳川家茂の婚姻をすすめて幕府の朝廷との結びつきを強めるなど公武合体派として幕府の体制立て直しを図っていました。
対して長州藩天皇を尊び外国を退けようとする尊皇攘夷派の急先鋒で、幕政を激しく批判していました。
文久3年(1863年)8月18日には薩摩の島津久光公武合体派が長州勢を中心とする尊王攘夷派を京都から追放してしまいます(文久3年8月18日の政変)。
正反対に見える思想を持つ2藩が結託することは不可能に思われましたが…

 

“御旗(みはた)は錦(にしき)だー一

紅みたいな叫びっぷりに気を取られますが、明治維新のキーアイテム、錦の御旗が登場しました。

 

黒船に乱された 国論(こくろん)の叫び
安政の大獄(たいごく)が吹き荒れる
血に飢えた列強が手ぐすねを引く
地に堕ちた幕府には任せられない

黒船の来航以来、国内では対外政策に関して論争が巻き起こりました。
そんな中で、江戸幕府大老井伊直弼尊王攘夷を唱える者たちに厳しい処罰を与えました(安政の大獄)。
議論が混迷していく間も、列強は日本に圧力をかけ続けます。
植民地支配や不平等条約の締結などで多くの国からうまい汁を吸いつづける列強の手から逃れられるかがかかる正念場ですが、権威が失墜してしまったに国の未来を任せられないとして志士たちが動き始めます。

 

腹の中さぐり会津はもうやめだ
西郷のドタキャンに 始御門(はまぐりごもん)
呪われた過去さえも水に流して

「さぐりあい」×「会津」のシャレ。
薩長同盟に向けて西郷と長州の木戸孝允との会談がセッテイングされたが、西郷がこれをドタキャンしたことが歌われています。
また、長州が文久3年8月18日の政変で失った威信の回復のために京都に出兵して会津・薩摩と戦って敗れる蛤御門の変禁門の変)も起こっていました。
しかし坂本龍馬らの仲介により、これらの遺恨を水に流して薩長同盟を結ぶことに成功します。

 

錦の御旗まとった俺たち
終わらない同盟幕府倒すまで
日本の未来背負った俺たち
道なき道、進む 東へ東へ

絶対幕府倒す同盟。
錦の御旗のもとに薩長は結束します。

 

倒幕にかける思いは一つ橋
大政を還してもその手は桑名
朝敵の幕府などぶっ鳥羽伏見(とばふしみ)

「一つ」と徳川慶喜の実家である一橋徳川家をかけています。
大政奉還しても幕府への手を緩めることはないという意味で、「食わない」と「桑名」をかけた言い回しである「その手は桑名の焼き蛤」を使っています。
続いて「ぶっ飛ばす」と「鳥羽伏見の戦い」をかけた歌詞。薩長が武力討幕派だったことも絡められているのかもしれません。
薩長の挑発にのった旧幕府軍会津・桑名が薩長と交戦して敗退したのが鳥羽伏見の戦いです。

 

錦の御旗まとった俺たち
止まらない官軍 幕府倒すまで
日本の未来背負った俺たち
嵐の中進む東へ東へ

2度目のサビ。

 

 

ちなみに

歌詞中にシャレで「一橋」「会津」「桑名」の地名が出てきていましたが、一橋徳川家当主の徳川慶喜会津藩主の松平容保桑名藩主の松平定敬三者による体制が「一会桑政権」と呼ばれています。

進行方向が東になっているのは、九州から朝廷と接触して錦の御旗を掲げ、幕府に対するという彼らの物理的な進路を指しているように見えます。

バンドの命名について。 幕×JAPANの前身であるサツマ・ハン・シエルとサイコ・ル・チョーシューのバンド名はそれぞれL'Arc〜en 〜Ciel、Psycho le Cémuから来ているようです。(実在の3組に番組内のバンドたちのような関係はありませんが、Psycho le Cémuのボーカル・DAISHIさんがL'Arc〜en 〜CielとHIDEさん(X JAPAN)に言及するインタビューは存在しました。)


雑感

こうして見てみると薩長が官軍として一緒に戦うまでに紆余曲折がありすぎたことが再認識できます。
戦国鍋で徳川十五代将軍たちがにこにこと「ラブアンドピース」などと歌っているのを見ると、「幕府には任せられない」という気持ちになるのも分からないでもないような…
トークパートでは声が小さいのに歌になると思いっきり歌い上げるTOSHIがとてもそれっぽい。RYOMAの負傷が回を追うごとに大きくなっていくのも気になります。

錦の御旗、メイドイン山口だったことを初めて知りました。かなりの厳戒態勢で作られていたようです。詳しくは山口市観光情報サイトから。